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【芦屋市】【神戸市】急傾斜地の安全対策と、文化と防災が共存するまち

  • 執筆者の写真: 中村せせらぎ
    中村せせらぎ
  • 10月29日
  • 読了時間: 3分

10月29日(水)視察初日は、兵庫県芦屋市奥池町と神戸市須磨区妙法寺へ。どちらも急傾斜地に位置する住宅地や渓流沿いの地域で、土砂災害対策が進められている現場を訪れました。

●芦屋市奥池町「急傾斜地崩壊対策事業」

兵庫県では、平成21年の台風9号災害を契機に「山地防災・土砂災害対策計画」を策定。現在は第4次(令和3〜7年度)計画のもと、319箇所の砂防事業整備を目標に進めているとのことです。

視察地の奥池町は、切り立った山の斜面に住宅が立ち並ぶ地域。道路の勾配も急で、歩くだけでも足元に注意が必要でした。冬場の路面凍結やスリップの不安も感じるほどです。

人家の隙間を縫うように設置された「崩壊土砂防止柵(約400m)」は、構造力学上の大型構造物であり、景観にも大きな存在感を放っていました。住民への配慮と、施工時の困難さについても丁寧な説明がありました。

この防止柵を見に向かう道すがら、コシノヒロコさんのギャラリー「KHギャラリー芦屋」の前を通りました。このギャラリーは、世界的ファッションデザイナー・コシノヒロコさんが創作活動の場として選ばれた場所で、建築家・安藤忠雄氏による設計。自然に囲まれた静かな環境の中に、アートと建築が融合した空間が広がっています。

私が通った日は水曜日で休館日だったため、館内には入れませんでしたが、外観からもその存在感と美しさが伝わってきました。防災施設と文化施設が隣り合うこの地域には、「暮らしを守る力」と「心を潤す力」が共存しているように感じました。

▶︎ KHギャラリー芦屋公式サイト:https://www.kh-gallery.com/top

●神戸市須磨区妙法寺「夫婦岩砂防堰堤(直轄砂防事業)」

続いて訪れたのは、神戸市街地に面する土石流危険渓流に設置された「夫婦岩砂防堰堤」の建設現場です。この地域は渓床・渓岸ともに急峻な地形で、土砂災害の危険性が高く、人家116戸の保全を目的に、高さ14m・幅48.5m・勾配20度(傾斜率36.4%)のコンクリート堰堤が建設中でした。

施工においては、資材を運ぶ道路が築造できない地形のため、ケーブルクレーンで200m先の現場まで資材を搬送するという工夫がされており、工事の困難さを肌で感じました。

現地では、最大40cmの土砂を想定した設計条件のもと、白山登山に比する急勾配の現場を実際に歩いて確認。防災士としても、現場の厳しさと、それに立ち向かう技術と知恵に深く感銘を受けました。

今回の視察では、「備えは日常の延長線上にある」ということを改めて実感しました。美しい街並みの裏にある危険、そしてそれを守るための工夫と努力。市民の皆さんの命と暮らしを守るために、こうした現場の知見を、野々市市の防災施策にも活かしていきたいと思います。

 
 
 

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