【大津市】議員研修1日目~初めての金沢以南新幹線と、大津での学び
- 中村せせらぎ
- 3 日前
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10月15日(水)滋賀県大津市のJIAM(全国市町村国際文化研修所)へ、2泊3日の議員研修に出発しました。野々市駅から小松まで普通電車、小松から敦賀まで新幹線。金沢以南の新幹線に乗るのは初めてで、小松駅ではKOMATUの大型ショベルカーと本社ビルが見え、敦賀駅の立派さにも驚きました。湖西線への乗り換えに少し戸惑いましたが、乗り換え時間に余裕があり無事に唐崎駅へ。ホームから研修所の建物が見え、徒歩3分という立地の良さにも感心しました。
JIAMは全国の自治体職員や議員が集う研修施設で、宿泊定員は299人。体育館やテニスコート、ソフトボール場もあり、学びと交流の場として整備されています。
📚 研修テーマ:「地方財政制度の考え方と健全財政・災害」
初日の講師は、兵庫県川西市の松本茂弘副市長。全国から集まった議員に向けて、川西市の財政健全化の取り組みを5つの柱で紹介されました。
① 財政状況を的確に分析する
「どんな街にしたいか」というまちづくりの視点を大切にしながら、財政指標にとらわれすぎない柔軟な発想が印象的でした。特に「留保財源(地方交付税の算定に含まれない、自治体が自由に使える財源)」を長期的にどう活かすかという視点は、野々市でも活かせると感じました。
② 行政経営をマネジメントする
職員の通年採用や人材育成、定数管理の工夫など、組織の持続性を高める取り組みが紹介されました。男性の育休取得を前提とした体制整備や、DXによるノー残業デーの実現など、働き方改革と財政健全化を両立させる姿勢に共感しました。キャリア採用が6割を占めるという多様な組織構成も、議論の活性化につながっているとのことです。
③ PDCAを回す財政運営
政策会議の設置や、決算報告書を「アウトカム(森)」「アウトプット(木・枝・葉)」で評価する手法が紹介されました。市民実感調査や部長による自己評価を通じて、行政サービスの成果を見える化し、25年分の評価を蓄積。市民からの質問が減るほど資料が充実しているというお話に、情報公開の力を感じました。
④ ウィークポイントにメスを入れる
土地開発公社の債務整理、第三セクターの再建、市立病院の経営改革など、過去の課題に正面から向き合う姿勢が印象的でした。特に市立病院では、5年かけて全室個室化し、ベッド稼働率97%を達成。累積赤字を黒字に転換した事例は、医療と財政の両立を考える上で非常に参考になりました。
⑤ 新しい事業手法にトライする(PFI)
市民体育館の整備・運営にPFI(民間資金活用)を導入し、LCC(ライフサイクルコスト)=建物の一生にかかる費用を見据えた運営を実践。契約期間全体を通じて、施設の価値を最大化するという考え方は、公共施設の整備・更新が課題となる自治体にとって重要な視点です。
研修後半には、人口規模が近い自治体の議員6人ずつでグループ討議が行われました。私は、野々市市と同じく人口5〜6万人規模の自治体(埼玉県鶴ヶ島市・日高市、岐阜県瑞穂市、静岡県湖西市、愛知県津島市)の議員の皆さんと意見交換。下水道整備とまちづくりの優先順位、財源の選択、住民ニーズの多様化など、共通する悩みや工夫を共有できた貴重な時間でした。
財政の健全化とは、単に数字を整えることではなく、「どんなまちにしたいか」というビジョンと、現場の実行力があってこそ成り立つものだと実感しました。制度や指標を学ぶだけでなく、現場の工夫や職員の意識改革、そして市民との対話があってこそ、持続可能な自治体運営が可能になるのだと思います。
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