【志賀町】被災地を支えたのは、そこにいる“普通の人”〜志賀町災害ボランティアセンターからの学び〜
- 中村せせらぎ
- 5月31日
- 読了時間: 3分
5月31日(土)令和6年能登半島地震で震度7の被害を受けた志賀町にて、災害ボランティアセンターの運営にあたられた志賀町社会福祉協議会の方のお話を伺う機会がありました。
被災地の最前線で、住民とともに汗をかいてこられたその言葉には、机上の議論では得られない「現場のリアル」が詰まっていました。
〇災害VC開設の課題とは?
大規模災害時、ボランティアセンターの開設と運営には様々な課題が立ちはだかります。
①運営体制の確立
地域のボランティア団体や行政との連携は不可欠ですが、実際には調整役の人材確保が難しく、立ち上げの初動で大きな壁になります。
② 情報発信と調整
「今、何が必要なのか」「どこに手が足りないのか」――その情報を住民や外部支援者に届ける手段として、SNS(特にFacebook)やチラシの活用が非常に有効であったとのこと。現場では“情報の見える化”が命綱となります。
③ ボランティアと被災者の関係性
一方的な「支援する・される」関係ではなく、被災者自身も支援の一員として関わることが、地域の立ち直りに大きな力を与えます。
④ 平時のネットワークがカギ
災害時に本当に頼りになるのは、日頃から顔の見える関係性です。協定やマニュアルも大事ですが、それを動かす“人と人のつながり”こそが真の力になる――この言葉には、深くうなずかされました。
⑤ 物資・コストの管理
現場では、清掃活動、備品管理、ニーズ把握など、細やかな運営が求められます。限られたリソースの中で、避難者とボランティア双方のニーズをどう調整するか、そこに現場の知恵が問われます。
「普通の人」の力が、命を守る・・・とても印象に残ったエピソードがあります。
輪島で、92歳のおばあちゃんをおんぶして避難してくれた若者がいました。普段は「隣に住んでるおばあちゃん」程度の認識だったそうです。でも、“普段知っている”という関係性が、いざという時に命を守る行動につながったのです。
そして、志賀町社協の方が語ったこの言葉が胸に残りました。
「災害時、地域にいる“普通の人”の力が最大の資源になる」
この一言に、すべてが詰まっているように感じました。防災士としての学びだけでなく、私自身がどう動くべきかという指針でもあります。
「特別な訓練を受けていないから何もできない」と思うのではなく、地域に暮らす“普通の人”の存在と行動こそが、災害時の最大の力になる――これは現実であり、今後の防災の中核です。
被災地からの学びを、自分の地域に
「被災地だから誰かが支援してくれるのを待つ」のではなく、自らが動く姿勢、そして地域の力を引き出すしくみが、災害対応の要です。
専門知識がなくても、チラシを配る、掃除を手伝う、声をかけ合う――どれも立派な支援活動です。そしてその一歩一歩が、地域の結束を深め、助け合える土壌を育てていきます。
日頃からの声かけ、交流、そしてちょっとした関わり。それらが「非常時に最大の資源」になる。この学びを、自分のまちの防災にも活かしていきたいと思います。
今、私たちにできることは何か。「備えること」と「つながること」。それが、未来の命を守る力になると信じます。
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